【原理、構造】
- 腫瘍組織を42~43℃以上に加温する。
- 放射線治療や化学療法と併用される。
- 加温効果細胞周期依存性が認められる。
- 加温時の血流量の違いにより腫瘍組織を選択的に壊死させる。
- 12~48時間で熱耐性は最大となり、72時間後に軽減する。
- 細胞は、一度温熱に曝されると熱に対する耐性を示す。1回目の加温後12~48時間で再加温すると、細胞の生存率は高い。
- 耐性を示している期間には再治療を行わず、3日程度感覚をあけて、熱耐性が軽減することに再治療を行う。
- 温度感受性はpHの低下や低酸素状態では高くなる(低酸素における嫌気解糖により細胞内pHが低下することに由来)。
- 組織内温度測定に熱電対を用いる。
- 放射線療法と併用される。
- 温熱療法は放射線により生じた細胞損傷の修復過程を抑制する効果がある。
【種類】
RFA波加温法(ラジオ波焼灼療法)
- RFAは電気メスに比べ、電極の接触面積が大きいため接触抵抗が50Ωと小さい。そのため、1Aという大きな電流が流れるためRFAでは電気メスよりも大きな対極板が必要である。
- ラジオ波焼灼療法での組織内加温は、針電極を経皮的に刺入して組織を加温する。
- 体外から超音波装置やCT装置の画像を見ながら腫瘍の位置を確認する。
- ラジオ波により腫瘍は70~80℃まで加熱され焼失する。
- 加温範囲が3cmまでに限られるためそれ以上大きな腫瘍は適応外となる
RF容量結合型加温法
- 容量結合型加温には数MHz~数10MHzの周波数を使用する。
- RF容量結合型加温法は波長が長く、皮膚面より6cm以上の深在性腫療の加温が可能である。
- RF容量結合型加温法は、RF電流を流し、生体組織中の抵抗成分により発生するジュール熱により加温する。
- 電気抵抗の高い脂肪層が電気抵抗の低い筋肉や臓器よりも加温されやすい特徴がある。
- 容量結合型加温は、体表面の冷却(エッジ効果軽減)にボーラスを利用する。
誘電型加温法
- 高周波電流の流れる円形コイルの中に生体を入れて、コイルのまわりに発生する磁界の変化によって生体に渦電流が生じ(電磁誘導)、ジュール熱で生体を加温する。
マイクロ波加温法
- マイクロ波加温は誘電体内で発生する誘電熱により加温する。
- マイクロ波加温法は生体組織内での減衰が大きいので、波長が短く浅在性腫瘍の加温に限られる。
- マイクロ波加温法は浅在性腫瘍の加温に有効である。
- マイクロ波加温方は筋肉層が脂肪層より加温されやすい。
超音波加温
- 超音波の特性上、空気や骨軟部組織で反射や屈折が起こるので、骨や肺などの臓器は適さない。
- 超音波加温法は超音波を直接生体組織に照射し、組織の構成分子を振動させ摩擦熱で加温する。
- 対象部位は、乳房、腹部臓器などがある。
- 超音波加温法は超音波を幹部に収束させて加温する。
全身加温法
- 全身加温法は血液を循環させて全身を加温する。