【原理、構造】
- 心電図R波同期が必要である(衝撃波は刺激伝導系に影響を及ぼす危険があるため)。
- カップリング方式(生体との接触方法)にはバスタブ方式とメンブレン方式がある。
- インピーダンス・マッチング(衝撃波発生部をウォータバックなどでカップリングし、音響インピーダンスを等しくする)
- 破砕は体外で発生させた衝撃波を伝播させる物質と結石の音響インピーダンスの違いを利用している。
- 衝撃波が通り抜ける反対側でも破砕される。
【適応】
- 腎結石:母指頭大以下
- 腎盂結石
- 腎杯結石
- 上部尿路結石(図参照)
- 胆・肝結石(理論上可能であるが、施行されることはあまりない)
- ※腎サンゴ状結石は、母指頭大以上となるためESWLは適応外となる。
【衝撃波の特徴】
- 衝撃波は水中で発生させる。
- 衝撃波は媒質の音速より速く伝搬する。
- 人体の結石を破砕する衝撃波は、水中を伝搬する水中衝撃波である。
- 衝撃波は気体や液体など媒質中を圧力などが不連続に変化して伝搬する圧力波の一種である。
- 衝撃波が伝搬する時、音響インピーダンスが大きく異なる界面で力学的エネルギーが生じる。
- 異なった媒質へ入射するとその境界面で大きな反射がある。
- 生体軟組織と骨の境界面は、音響インピーダンスが大きいので衝撃波は反射される。
- 生体軟組織は音響インピーダンスも水と変わらないので、反射波は大きく透過する。
- 肺や腸は損傷を受ける。
【衝撃波発生源】
電極(水中)放電方式(平面コイル、円筒型コイル)
- 水中においた電極に高電圧パルスをかけると放電が起こり、周囲の水が瞬間的に沸騰し体積が急激に膨張するので衝撃波が生じる。
- 電極放電方式では結石の位置は第2焦点に合わせる。
- パラボラ型反射体を用いる。
圧電素子方式
- 多数のピエゾ素子に高電圧をかけることによりパルス超音波を発生させて、その超音波を収束しパルス圧力波を生じる。
- 圧電方式では圧電素子を複数配置し波を干渉させることで衝撃波を形成および焦点へ収束させる。
- 音圧の高いパルス圧力波が生じる。
電磁振動方式(平面コイル、円筒型コイル)
- 高電圧のエネルギーをコイルに流すと、電流の変化に伴い磁界が発生し、金属板が磁界により振動し、衝撃波を発生させる。
- パルスが発生しその結果大きな磁気が発生、コイルの作る磁気と反発しあうことで金属板がパルス状に振動し衝撃波を発生させる。
- 電磁振動方式の平面コイルでは音響レンズを用いる。
- 金属板には2種類あり平面振動板、筒型振動板の2種類ある。
- 平面振動板 : 音響レンズ(凸レンズ)での集束。
- 筒形振動板 : パラボラ型反射鏡(楕円反射鏡の一部)を利用する。
- 焦点での最大圧力は、パラボラ型が大きい
【結石の照準方法】
超音波観察方式
- 超音波による照準方式では、常時観察が可能である。
- X線陰影結石(尿酸、シスチン、キサンチン、タンパク)はX線照準法では認識しにくいため超音波照準方式が適する。
X線波観察方式
- カルシウム含有尿管結石の照準にはX線透過を用いるのが適している。
- 結石が尿酸、シスチン、キサンチン、タンパクの場合は確認ができない。
【適応と禁忌】
- 腎結石のうち母指頭大以下の結石や腎盂尿管移行部から腸骨稜上縁までの尿路結石。
- 禁忌
- 妊婦
- コントロール不十分な出血傾向のある患者
- 動脈瘤のある患者
- 無機能腎
- 腎実質内結石
- 腎杯鼓室内結石:腎杯が憩室のように腎皮質に突出したものを憩室
- サンゴ状結石
- 主成分がシスチンの結石(非常に硬い結石のため、ESWLは不可)
- 膀胱結石 →TUL(経尿道的尿管破砕術)で行う
- 尿道結石 →TUL(経尿道的尿管破砕術)で行う
【内視鏡式結石破砕装置】
- PNL(経皮的腎尿管破砕術):腎結石のうち母指大以上のもの
- TUL(経尿道的結石破砕術):腸骨稜以下の結石、膀胱結石、尿道結石
- 超音波破砕装置
- 超音波ロッドの先端を30~100μmの振幅で振動させる。
- 破砕された結石は注入した還流液とともに体外に吸引排出される。
- レーザ破砕装置
- レーザ光を結石内部に吸収させる。
- Ho:YAGや色素レーザ
- 電気水圧破砕装置
- 結石に接触させて2つの電極間にパルスをかけ火花放電を発生させる。
- 圧縮空気破砕装置
- ロッド内のハンマ(滑走体)を圧縮空気で高速に押し込んで先端の棒にぶつけ、この振動が結石に伝わる。
【取り扱いと安全管理】
- 妊婦や動脈瘤患者の使用は禁忌。
- 衝撃波が肺に当たらないようにする。
- 体内空気含有量の多い肺や腸は衝撃波により損傷の危険がある。
- 肺は音響インピーダンスが異なるため、損傷の可能性がある。
- 空気含有臓器の肺や腸管などは、水と音響インピーダンスが大きく異なるため、衝撃波により組織が損傷する可能性あり。
- 体内の肺や腸などの空気含有臓器は、液体と気体の音響インピーダンスが著しく異なるため、衝撃波により組織を損傷するので十分注意が必要である。
- 骨の音響インピーダンスは結石以上に大きいが、衝撃波の圧力振幅の最大値は結石を破砕する程度であり、骨はそれ以上硬いため衝撃波で損傷されることはない。