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超音波切開凝固装置

【原理、構造】 
概要

  • 使用周波数 : 45~55kHz程度
  • 長軸方向に50~100μmの幅で往復運動を繰り返す。
  • 組織温度は100℃前後。
  • 凝固しながら切開ができる。
  • 鋭利な切開能力はない
  • 凝固温度はレーザーメスと同等
    • 凝固温度は電気メスより低温である。
    • 摩擦熱により60~70℃前後でタンパク質の熱変性を起こし、80℃程度で完了する。
    • レーザメスは、光熱作用により超音波凝固切開装置と同様に60~70℃程度でタンパク質の熱変性を起こし凝固する。内視鏡下手術に用いられる。
  • 超音波振動の摩擦力(摩擦熱)で切開・凝固を行う治療装置である。
  • 組織は機械的擦過力に加え、摩擦熱との相乗効果により凝固しながら切開が可能。
  • 低温(約100℃前後)での組織凝固が可能であるため、電気メスと比べて熱損傷が少ない。
  • 血管や神経に近接している組織の剥離に適している。
  • 術野に煙は発生しない。ただし、ミストが発生し視野が悪くなることがある。
  • 電気メスと比べると、切開・凝固に時間がかかる。
  • 電気メスとの併用はできる。
  • 内視鏡手術に用いられる。

 
構成要素

  • 20~200kHzの超音波を使用する。
  • アクティブブレードは、45~55kHzの周波数で振動する。
  • 超音波振動による摩擦熱を利用する。
  • 対極板は必要ない。
  • シザーズ型プローブ
    • 高速で振動するアクティブブレード部分とパッドで構成。
    • 組織をこの部分で挟み込み組織の切開と凝固を行う。
    • 高速で振動するアクティブブレードだけが振動し、組織の切開や凝固を行うことができる。
  • フック型プローブ
    • アクティブブレードのみの構造であり、ブレードを組織に接触させたり、圧迫したり、引っかけたりすることで切開と凝固を行う。

 
適応 

  • 比較的太い動脈の凝固・切開が可能である。
  • 血管・神経などの組織の剥離に適する。