【取扱と安全管理】
- 経皮的冠動脈形成術(PTCA : percutaneous transluminal coronary angioplasty)とは、カテーテルを冠動脈の狭窄部位まで挿入し、狭窄部を拡張する手技である。
- 挿入部位 :大腿動脈や上腕動脈 + 橈骨動脈
- 経皮的冠動脈インターベンション(PCI : percutaneous coronary intervention)
- PTCAやPOBA等、種々の手技を併用した冠動脈形成術の総称
- percutaneous : 経皮的な~
- PTCAのTは transluminalを意味する。
- PTCAとは、Percutaneous Transluminal. Coronary Angioplastyの略で経皮的冠動脈形成術を意味する。
- Percutaneous : 経皮的
- Transluminal : 経管的
- 局所麻酔下で施行される
- PCI治療の前には必ず冠動脈造影(CAG)を行い、疾患部位や血管の閉塞・狭窄の程度を評価する。
- PCI治療中も、X線透視下(冠動脈造影)による評価を行う。
- PCI治療中に血管内超音波診断装置(IVUS)による病変部の評価を行う。
- PCIは大腿動脈や上腕動脈を穿刺し、穿刺部から目的の冠動脈口まではガイドワイヤを軸として適切な形状のカテーテルを逆行性に挿入する。
- 治療中のリスクの高い症例ではIABPによる予防的なバックアップが必要である。
- OCT(光干渉断層装置)
- 近赤外線と光干渉計を用いる。
- 冠動脈の血管断層像を得ることができる。
- 冠動脈内に導入したOCTカテーテルを造影剤で赤血球をフラッシュしながら、血管断層像を得る。
- 冠血流予備量比(FFR)を用いて虚血の判定をする。
- PCI治療後の評価には経胸壁心臓超音波断層装置が有用である(体外からの心臓内の血流の方向や速度を観察できる)。
ステント
- ステントに対する異物反応で再狭窄することがある。
- バルーンの冠動脈狭窄の拡張(POBA)には、造影剤と生理食塩水を混合した液でバルーン内に圧力10~20気圧をかけて拡張する。
- バルーンの拡張時間は30~60秒。
- 冠動脈に使用されるステントは金属を網目状に組み合わせたものである。
- ステントには特殊な薬剤が塗布されたもの(薬剤溶出型ステント)とされていないもの(ペアメタルステント)がある。
- ステントには免疫抑制剤や抗がん剤を塗布した薬剤溶出型ステント(DES)が使用されるようになっている。
- ステントによる異物反応で再狭窄する。
- 薬剤溶出ステントは血栓閉塞を減少させる。
ロータブレータ
- 硬く石灰化した病変部は、ロータブレータによるアテレクトミー(粥種切除)治療が行われる。柔らかい組織(弾力性組織)は切除しない。
- ロータブレータは、PTCRA(回転性アテレクトミー)で使用される。
- ロータブレータはチップが毎分15万~20万回高速回転する。
- 先端チップには微小なダイヤモンド粒子がコーティングされている。
- ロータブレータにより切削された組織は5μm以下である。
- ロータブレータ使用時、冠動脈末梢の血流が一時的に減少することがある。
- ステント留置と組み合わせて使用される。
- DCA(方向性アテレクトミー)では、カテーテル先端に内蔵されたドリルでアテロームを削り取り、カテーテルに収納される。