【原理、構造、種類】
冷凍手術器の作用機序
- 冷凍手術器の作用機序は、壊死効果、接着効果、炎症反応、固化作用による。
- 冷凍手術装置の原理・構造は、温度と圧力の状態の違いから常温高圧型と低温常圧型に分類できる。
- 臨床的な適用として常温高圧型は小さな病変に、低温常圧型は大きい病変に用いられる。
- 悪性腫瘍、癌前駆症、良性腫瘍、痔核、いぼ、白内障、網膜剥離などに適用される。
- 眼科領域では水晶体に接着させピンセットの代わりに使用するほか、外科領域では病変部位を超低温状態にして壊死させる。
常温高圧型
- 常温高圧型は高圧ガスを小さなノズルから噴射させることで冷却が生じるジュール・トムソン効果を利用しており、冷却材としては炭酸ガスや笑気を用いる。
- 断熱構造は必要なく、破壊力は小さいので小さな病変に適している。
- 冷却剤には、炭酸ガス、笑気以外にアルゴンガスが用いられる
- 冷却原理は、ジュール・トムソン効果を用いる。
- 断熱膨張による温度下降現象を利用する方式。
- 炭酸ガスは-70℃、笑気は-89℃、アルゴンガスは-185℃まで低下することができる。
- 常温高圧型は断熱構造が必要なく構造が簡単である。
- プローブ内部で細いノズルから噴射させプローブを冷却させる。
低温常圧型
- 低温常圧型は液体窒素を使用し、断熱構造は必要となる。
- 破壊力が大きく大きな病変に適している。
- 低温常圧型の方が常温高圧型より最低温度が低く設定できる。
- 冷却原理は気化熱(潜熱)である。
- 液体窒素を用いて-198℃まで低下させる。
- 液体窒素の自然蒸発は1日に7%程度である。
- 断熱構造が必要なため構造が複雑。
- 低温常圧型では、プローブ先端に内蔵されたヒーターで加温解凍し、組織の凍結、剥離を行う。