HOME | New臨床工学技士まとめサイト | 治療機器学 | 内視鏡外科手術機器

内視鏡外科手術機器

【治療の概要と使用機器】

  • 気腹(腹腔内の作業空間)には二酸化炭素を用いて作成する。
  • 気腹には炭酸ガスを自動供給する気腹器を用いる。
  • 炭酸ガスモニタを用いて手術中に注入する炭酸ガスの量や圧力をモニタする。
  • 腹腔内圧は8~12mmHg程度に設定する。
  • 気腹は静脈還流の低下や循環動態に影響を与える可能性があるため、気腹ガスの圧モニタだけではなく、呼吸循環系のモニタを確認しながら手術を行う。
  • トロッカー(トロカール)は逆流防止弁がついている(気腹ガスの漏出を最小限にする)。
  • トロッカー(トロカール)を介して内視鏡を挿入する。
  • トロッカー(トロカール)は腹腔に挿入する。
  • 体壁に5~10mm前後の小孔を数カ所あける。
  • 内視鏡外科手術は主に全身麻酔下で施行される。
  • 視野確保のため手術台を傾斜させる。
  • 電気メスを使用する際、対極板が必要であるが、患者の体位や手術台の体位変換を行う必要があるため細心の注意が必要である。
  • 超音波凝固切開装置を同時使用することができる。
  • 開腹手術に比べて深部静脈血栓のリスクが高い。
  • 下肢の静脈血栓による肺塞栓症防止のため、下肢マッサージ器や弾性ストッキングが使用される。

 
 
【適応】

  • 食道 : 逆流性食道炎、食道アカラシア、食道粘膜下腫瘍
  • 胃・十二指腸 : 胃癌(早期)、胃・十二指腸潰瘍穿孔、胃良性腫瘍
  • 小腸・大腸 : 大腸癌(早期・進行)、腸管癒着、腸閉塞、良性大腸疾患(憩室症・大腸ポリープ)
  • 肝臓 : 肝腫瘍、肝嚢胞
  • 胆道系 : 胆石症、胆嚢ポリープ、総胆管結石
  • 膵臓 : 膵仮性嚢胞、膵腫瘍
  • 脾臓 : 脾摘出を要する血液疾患、脾腫瘍
  • 副腎 ; 副腎腫瘍
  • 肺・縦隔 : 自然気胸、肺腫瘍(原発・転移性)、縦隔腫瘍、胸壁腫瘍
  • ヘルニア : 鼠径ヘルニア、大腿ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニア、食道裂孔ヘルニア、臍ヘルニア
  • 婦人科領域 : 子宮筋腫、卵巣疾患、子宮内膜症、子宮外妊娠
  • 泌尿器科領域 : 腎腫瘍
  • その他 : 中垂炎、癒着性腸閉塞
  • など

 
 
【合併症】

  • 深部静脈血栓症(エコノミー症候群) : 気腹により腹腔内圧が上昇することで静脈環流の低下が引き起こされる
  • 予防)下肢マッサージ・弾性ストッキング
  • 大動脈圧低下 : 静脈環流の低下により心拍出量および動脈血圧が低下する
  • 肺血栓梗塞症 : 下肢で発生した血栓が肺に飛ぶことにより呈する
  • 高二酸化炭素血症 : 気腹に炭酸ガスを用いるため
  • 胆嚢摘出術に伴う合併症には、出血のほか胆汁漏出や胆管損傷がある