【概要】
- 固体レーザ : Nd:YAGレーザ、Ho:YAGレーザ、Er:YAGレーザ
- 気体レーザ : CO2レーザ、Arレーザ、ArFレーザ
- 半導体レーザ : Ga-Al-Asレーザ
- 色素レーザ : Dyeレーザ
- 紫外光 : ArFレーザ(波長193nm)、XeClレーザ(波長308nm)
- 緑色光 : Arレーザ(波長514nm)
- 近赤外光 : Nd:YAGレーザ(波長1064nm)
- 赤色光 : He-Neレーザ(波長632.8nm)
- 遠赤外光 : CO2レーザ(波長10.6μm)
【原理、構造、種類】
CO2レーザー
- 波長は10.6μm。
- 多関節マニュピレータが使用(石英系ガラスファイバで伝送できない)。
- CO2レーザーは水やガラスに吸収される。
- 照射されたくない部位に水に濡らしたガーゼで覆うことで保護することができる。
- 止血能力においては弱いが、切開能力においては強い。
- 皮膚表在性病変の治療に用いられる。
- 皮膚・軟部組織の止血、切開、蒸散、凝固などに用いられる。
- ガイド光が必要。
Er:YAGレーザ
- 光侵達長は1μmと短い。
- 浅い組織の切開や歯、歯肉などを削るのに適している。
- 歯科・口腔外科の治療で多く用いられており、う蝕された歯(虫歯)などの治療に用いらている。
- レーザは中赤外光で、CO2レーザと同様に石英ガラスファイバーでの伝送率が悪いため、中空ファイバ(中空導波路)を用いた伝送方式を用いている。
Nd : YAGレーザ
- レーザ光は水やヘモグロビンに吸収されにくい。
- レーザは水に吸収されないため、深部組織に到達する。
- 内視鏡下治療に用いられている。
- ガイド光が必要。
Ho:YAGレーザ
- レーザを結石表面に照射すると、結石の微少部分が高温となり気化し、プラズマ(熱)が発生する。
- プラズマによって生じた負圧気泡の急激な膨張によって水中衝撃波が発生し結石が破砕させる。
- 前立腺肥大の切除や尿路結石破砕治療に使用される。
- 関節鏡下手術に用いられる。
- 石英ガラスファイバーの伝送が可能。
- レーザは石英ガラスファイバに導光できる最も長い波長(約2100nm)である。
半導体レーザ(Ga-Al-Asレーザ)
- 800nm付近の発振波長の生体作用は水や色素に対する吸収が少ない。
- 組織深く(数百μm~2mm近く)まで透過することができる。
- 疼痛治療に用いられる。
- 内痔核の切除・蒸散治療や選択的血管凝固に使用する。
- 低出力タイプでは、神経の異常興奮制御、関節周囲炎や腰痛症などの治療に使用される。
- 非接触照射による凝固作用が中心となる。
ArFエキシマレーザ
- 波長193nmの紫外線領域の光。
- 気体レーザ。
- 角膜に吸収される。
- 角膜切除手術に用いられる。
- 視力矯正に用いられる。
Arレーザ
- 波長514.5nmの緑色の可視光。
- 気体レーザ。
- ヘモグロビンの吸光特性が強く、網膜上の血管を凝固させることができる。
- 網膜凝固装置として使用されており、糖尿病網膜症、網膜中心静脈分枝閉塞症などの眼底疾患の治療に用いられる。
- 角膜、水晶体、硝子体にほとんど吸収されず、網膜で吸収される。
- 術者、立ち会い者は自身の網膜障害を防ぐために、専用防護眼鏡を使用する。
Dye(色素)レーザ
- 波長 585~630nm。
- 患者に腫瘍親和性のある光感受性薬剤を投与し、液体色素レーザを照射することで癌細胞を死滅させる。
- 色素レーザは癌治療の1つであるPDT(光線力学的治療)に使用される。
ルビーレーザ
- 黒あざ治療に用いる。
- メラニンによく吸収される
He-Neレーザ
- 低エネルギーのレーザ
- 除痛や他のレーザ装置のガイド光として使用される。
アレキサンドライトレーザ
- 脱毛に用いる。
【取り扱いと安全管理】
レーザ手術装置使用の注意事項
- レーザ照射は、1人の術者が操作する。
- 患者、術者、周囲の補助者は、眼球保護のために保護眼鏡を着用する。
- レーザの出射方法は、打ち下げとし、水平あるいは打ち上げではいけない。
- レーザの出射端は、術者の目の高さよりも十分に下げた位置とする。
- 照射部以外の術野を適宜保護する。