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輸液ポンプ、シリンジポンプ

【種類】

輸液ポンプの分類
方法 名称
機械式注入方式 ペリスタツティック方式 ローラ型
フィンガ型
ピストンシリンダ方式 ボルメトリック型
シリンジ型
自然滴下方式 輸液コントローラ
予圧注入方式 バルーン式インフーザ
バネ式インフーザ
 
 

【ピストンシリンダ方式】

  • 薬液容器の体積を機械的に縮小させ、薬液を送り出す。
  • 脈流が生じにくい。
  • ボルメトリック型は高い流量精度で微量輸液を得意としている。
  • 心血管作動薬や抗不整脈薬などの微量で強力な作用の薬液投与に使用される。
  • サイフォニング現象は、シリンジ型輸液ポンプにて発生する。
  • 検出機能
    • 輸液回路の閉塞
    • シリンジのサイズ
    • 押し子の取り付け不良
    • 内蔵バッテリー電圧低下
    • 残量なし
    • 気泡アラームはない。
  • ボルメトリックポンプ
  • 専用カートリッジが必要。
  • 高価であり、セットアップに時間がかかる。

  
 
【ペリスタルティック方式】  

  • 長時間の大量使用に適している。
  • 超音波の透過量によって気泡混入を検出する。
  • フィンガ式では、ペリスタルティック法の1つで輸液セットのチューブを蠕動運動させることによって薬液を送り出す。
  • 流量の定常性に優れる。
  • ローラポンプ方式
    • 一方向に回転するローラがチューブをしごくことで薬液を送り出す方式。
    • 弁による流入方向の制御はない。

  • フィンガ式
    • フィンガ全体が波状運動(蛇の動きに似ている)することにより薬液を送り出す。
    • 機械注入方式に分類される。
    • チューブを順次圧迫して薬液を送り出す。
    • フリーフロー現象が起こる。

  • 検出機能
    • チューブの膨張から輸液回路の閉塞を検出する。
    • 超音波の透過量によって気泡の混入を検出する。
    • 赤外線の受光量によって滴下数を検出する。
    • ホールセンサを用いてドアの開閉状態を検出する。
    • 輸液セットの種類は滴下センサ、滴数設定の誤りで検出される。
    • 輸液流量を自動計測する。
    • 輸液剤の終了を自動報知する。

 
 
【予圧注入方式】  

  • 薬液容器にあらかじめ圧をかけておき、リリース弁の開放によって容器内の薬液を除々に放出させる。
  • 携帯型のポンプに使用されている。

 

 
【滴数制御型】  

  • 成人用は20滴/mL、小児用は定量筒付きで60滴/mLと決められている。
  • 滴数制御型では汎用の輸液セットが使用できる。
  • 滴下センサは、赤外線を用いて滴下の有無を見ている。
  • 発光素子 : LED
  • 受光素子 : フォトダイオード
  • センサ発光部や受光部に汚れなどがあると、滴下を正しく感知することができない。
  • 表面張力の違いにより1滴の薬液量が異なるため、滴数制御型は薬液の表面張力の影響をうける。
  • シリンジポンプと比べ、流量制度が低い。

  

 
【流量制御型】   

  • 流量制御型は専用の輸液セットでないと流量に誤差が生じる。
  • 流量制御型ではチューブ内径の変化が誤差となる。
  • 流量の精度は滴数制御型よりも高い
  • この方式の欠点としては、薬液の比重・粘度が大きくなると誤差が生じる

  
  
【取り扱いと安全管理】  

  • 点滴セットのクレンメはフリーフロー防止のため、輸液ポンプの下流にセットする。開くのを忘れると閉塞アラームが作動する。
  • 輸液セットのチューブが適正にセットされないと、チューブの圧閉不足から多量に輸液されてしまう →フリーフロー現象
  • 気泡を除去する際は、ドアを開けた瞬間に落差で気泡が薬液と一緒に体内に流れしまうため、ドアを開ける前にクレンメを閉じてからドアを開ける。
  • サイフォニング現象は、シリンジ方式において、シリンジのセット不良によって発生する。
  • 輸液回路の閉塞は、回路内圧の上昇を検出する。
  • ニトログリセン製剤は塩化ビニルを使用することにより、吸着されてしまう。そのため、ポリエチレンやポリプロピレンなどの専用輸液セットを用いる必要がある。
  • シリンジポンプと患者の高低差は小さくする。
  • 輸液ポンプのバッテリにはNi-Cd(ニッケルカドミウム)電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などが使用される。

 
キーオープンレート(KOR)機能

  • 「患者ラインを開存させておくことを目的として、一定の条件下で、輸液ポンプにあらかじめ設定した低流量」と定義
  • 輸液ポンプには、回路内の閉塞などの予防のため輸液ポンプの停止中などにあらかじめ設定された低流量で薬液などを流す機能が備わっている。

 
輸液ポンプのアラーム機能

  • 自己診断
  • 閉塞アラーム
  • 空液(液切れ)アラーム
  • 気泡アラーム
  • 電池電圧低下アラーム
  • 流量異常アラーム
  • ドアオープン

 
シリンジポンプのアラーム機能

  • 閉塞アラーム
  • シリンジセットアラーム
  • 押子アラーム
  • 残量アラーム
  • 電池電圧低下アラーム
  • 開始押し忘れ