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腹膜透析

【腹膜透析の目的と原理】 

  • 中・高分子の除去を得意とする。
  • 循環動態への影響が少ない。
  • 不均衡症候群が起こりにくい。
  • QOLの向上が期待できる。
  • 食事制限は、血液透析と比べると緩い。
  • バスキュラーアクセスは不要である。
  • 抗凝固剤は不要である。
  • 腹腔に透析液を一定時間滞留させ、腹膜を介して透析し、これを排液することによって体液の調整をはかる治療法である。
  • 透析液内の浸透圧物質濃度は経時的に変化する。
  • 腹腔内透析液量は浸透圧差が高い時は増えていくが、除水が進み浸透圧差が低くなるにつれて、除水量は減少していく。
  • 腹膜カテーテルはダグラス窩に挿入する。
  • 使用する透析液量は1回1~2Lで、透析液の流出入は患者腹部と透析液との静水圧差を利用する。
  • 透析液中にアルブミンの漏出がある。
  • 腹膜透析は
    • 間欠的腹膜灌流(ないしは間欠的腹膜透析)(IPD) : 1回の貯液時間は約1時間で、1日10~15回行い、これを週2~3回繰り返す。
    • 連続携行式腹膜灌流(ないしは連続的腹膜透析)(CAPD) : 1回4~8時間の貯液を1日3~4回行い、これを間断なく連続的に施行する。この変法として夜間のみ透析液を交換するCCPDがある、の2つに大別される。
  • 血液透析と比較して、長時間、低除去速度治療であるCAPDでは、小分子物質の除去は劣るが、中・高分子物質の除去に優れている。
  • 緩除で連続的なCAPDでは血液透析中に頻繁にみられる不均衡症候群の発症が極めて少ない。
  • シャントを用いないことから、ブラッドアクセスに問題のある患者を含め、透析困難症の患者に有効である。
  • 腹膜炎の合併の危険性が高い。清潔操作に対する患者教育が不可欠である。
  • 全透析患者に占める腹膜透析の患者数は約2%である。
  • 腹膜透析と血液透析を併用することも可能である。
  • 透析液の交換は複数回行う。

 
 
 
CAPD合併症
 

  • 腹膜炎
  • 被嚢性腹膜硬化症
  • 腰背部痛(腰痛)
  • 透析不足
  • カテーテル出口部感染(カフ付きカテーテルを用いても感染の防止はできない)
  • 注排液不良 →正常は排液は混濁していない
  • 低タンパク血症(排液中に5~10gのタンパク喪失が見られる)
  • 肥満
  • 腹腔ヘルニア、陰嚢水腫
  • 胸水貯留

 
 
【血液透析と腹膜透析液の組成違い】

血液透析
Na K Ca Mg Cl 酢酸 重炭酸 ブドウ糖 浸透圧
mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mg/dL mOsm/L
140  2.0 3.0 1.0 110 8.0 30 100 280
 
腹膜透析
Na K Ca Mg Cl 酢酸 乳酸 ブドウ糖 浸透圧
mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mg/dL mOsm/L
 132 ×  3.5~4.5 35 96  ×  40 1500~4500 350~500 
 
 
  • CAPDでの除水は浸透圧差で行う(1.35~4.25%までの各種の濃度のぶどう糖が添加されている)。
  • 通常のブドウ糖では体内の吸収があるため、分子量大きいブドウ糖、イコデキトリンが用いられる。
  • 透析液の組成にカリウムが含まれていない(カリウムフリー)。
  • 腹膜透析のアルカリ化剤(緩衝剤)は乳酸(ラクテート)である。