【水処理装置】
原水
- 透析液原水として使用する際には、水道法に準拠した水質の担保が必要である。
- 水道水に準拠していれば、地下水の使用も可能である。
1次・2次フィルタ (プレフィルタ、沈殿フィルター、微粒子フィルタ、マイクロフィルタ)
- 原理 : 濾過
- 除去する対象 : 混濁粒子を取り除く
- プレフィルタの構造は糸巻き型が多い。
- 孔径50μm程度
- プレフィルタは、原水(水道水あるいは井戸水)中の鉄さび、砂など粗い物質を全濾過することで除去する。
- 通常、1次フィルタに孔径50μ 程度の膜を用い軟水装置の前に、2次フィルタに細かい孔径の膜を逆浸透装置前に設置することが多い。
軟水化装置(陽イオン交換樹脂)
- 原理 : 陽イオン交換
- 除去する対象 : 原水中の硬度物質(おもに、Ca、Mgイオンなど)、重金属(亜鉛、カドミウム、アルミニウムなど)
- 軟水化装置通過後の水中には、Mg、Caは除去されているが、Naイオン(陽イオン)は存在している。
活性炭吸着
- 原理 : 吸着
- 除去する対象 : 残留塩素、クロラミン
- 活性炭吸着は軟水器の下流に設置する。
- 活性炭通過後は、残留塩素が無くなるため、細菌の繁殖に注意する。
- 活性炭濾過装置は水処理システムの後半に位置する。
- 活性炭濾過装置は、活性炭の中にある様々な孔に、残留塩素やクロラミン、有機物を物理的に吸着する。
- 残留塩素は、活性炭濾過装置で除去される。血液に塩素が混入すると溶血を起こす原因となる。
逆浸透圧装置
- 原理 : 濾過(逆浸透)。
- 除去する対象 : Na(軟水器で置換されたイオン)、残留塩素以外すべてを除去できる。
- 前処理された軟水を、透析用希釈水として問題なく不純物を除去できるという大きな特徴を持っている。
- RO膜は部分濾過(クロスフロー方式)で処理水を得る。
- RO膜には合成高分子が使用される。
- イオンやエンドトキシンなどほぼ全ての溶存物は透過できず、水のみ膜を透過し純水を濾過できる現象をいう。
- 逆浸透 (ReverseOsmosis :R O)装置は RO膜を介して供給水側に浸透圧以上の圧力を加えることにより、水成分がRO膜を櫨過してくる現象を利用した装置である。
- 逆浸透により原水中の溶解イオン、有機物、バクテリア、パイロジェンなどを除去する。
- 逆浸透装置では有機物を、原水中から完全に除去することはではない。
- 原水回収率(原水から逆浸透水を精製する割合)が高い場合、不純物が混入し水質が低下する。
紫外線殺菌灯
- 主に、細菌の繁殖を防止する。
- エンドトキシン(パイロジェン)は除去できないので注意。
エンドトキシン捕捉フィルタ(UFフィルタ、限外濾過フィルタ、ETCTフィルタ)
- 原理 : 濾過。
- 除去する対象 : エンドトキシン
- 逆浸透装置で阻止できなかったエンドトキシン・細菌・ウイルスなどを濾過によって分離除去する。
- エンドトキシン捕捉フィルタは細菌も捕捉する。
- 透析液監視装置にはエンドトキシンカットフィルタを複数箇所に設置する。
- 分画特性は数千~数万程度。
【エンドトキシン】
- グラム陰性桿菌の細菌壁に存在するリポ多糖体。内毒素である。
- 多糖部分とリピドAと呼ばれる脂質部分で構成されている。
- 発熱作用(パイロジェン)などの生物活性があり活性の中心はリピドAにある。
- 血液や透析液中では会合体(集合体)を形成する
- サイトカインが産生され多くの生物活性が発現する。
- 透析アミロイドーシスに陥る。
- 敗血症の原因となりうる。
- 透析液中の細菌は膜で阻止される。
- 透析液中のエンドトキシンは通常の膜(プレフィルタ)で阻止できない
- ETCF(エンドトキシン捕捉フィルタ)で除去する。
- メンブレンフィルタ法にて検査可能
【その他】
- 透析用水化学物質管理基準(22項目)に含まれる、溶存物質についての臨床症状
- クロラミン(結合塩素) : 溶血、貧血
- 透析液から血液中に混入すると、赤血球が溶血し貧血状態となる。
- エンドトキシン : 嘔気、嘔吐、低血圧
- グラム陰性菌由来のエンドトキシンは、サイトカインの上昇やショック、低血圧など様々な弊害を生体に及ぼす。逆に、清浄化された透析液を使用することにより患者の合併症(炎症反応、透析アミロイド)を防ぐことができる。
- アルミニウム : 貧血、骨病変、神経障害
- 水道水中には凝集剤由来の残留アルミニウムが存在する。
- 透析用水管理基準値の0.01 mg/Lであることから、透析用水処理過程の軟水装置において適切に除去される必要がある。
- 銅 : 溶血、貧血、嘔気、嘔吐
- ナトリウム : 高血圧