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アフェレシス療法

【血漿交換】
血液浄化膜の細孔径

  • 血漿分離器では数千Å、血漿成分分離器では数百Åと、それぞれ血液透析や血液濾過膜よりも2桁、1桁オーダの大きい細孔径を有している。
  • 膜の孔径 : ダイアライザ>血漿分画器>血漿分離器
  • 血小板は血漿分離器を通過できない。
  • 血漿分離器での分離の原理は膜分離である。

 
適応疾患

  • 劇症肝炎 →単純血漿交換療法、血漿吸着療法の順に考慮する。
  • 薬物中毒
  • 多発性骨髄腫
  • マクログロブリン血症
  • 重症筋無力症
  • 家族性高コレステロール血症
  • 悪性関節リウマチ
  • SLE
  • 同種腎移植
 
 

【単純血漿交換療法(PE)】

  • 血漿分離器のみ使用
  • 1本の濾過器で血漿成分を分離濾過する方法。
  • 膜型血漿交換療法での濾過流量は血流量の30%が上限である。
  • 血漿分離器により全血中の血球成分と血漿成分を分離し、その分離した血漿は全て廃棄する。
  • 膜型血漿分離では濾過流量は血液流量に対し30%を上限とする。
  • 同時に廃棄した血漿と同量の置換補充液(代用血漿)を補充する。
  • 代用血漿として使われるヒト新鮮凍結血漿や、ヒト血清アルブミンは非常に高価であり、それを1回の治療で多量に使用するため治療費が高額となる。
  • FFPは加熱処理ができないため感染の危険性がある。

 
 
【二重膜濾過血漿交換法(DFPP)】

  • 2種類の異なるフィルタを用いる。
  • 1本目の、濾過器は、患者血液を赤血球などの有形成分と血漿とに分離するための血漿分離器。
  • 2本目の濾過器で、成分分離する方法。
  • 2本目の血漿成分分離器でアルブミン成分と疾患原因たんぱくを含むグロブリン成分とに分離。
  • アルブミンは分画器の膜の細孔を通過する。
  • 血漿分画器は、アルブミン以下の分子量のものは膜の細孔を通過することができる。
  • アルブミンと結合しているものや同程度の分子量のものは濾過され、体内に戻る。
  • 血漿分離と、血漿成分分画器を使用。
  • 血漿分離器で分離した血漿成分を、更に血漿成分分画器で病因物質と人体に有用であるアルブミンなどとを分離し、その有用成分は患者に返す。
  • 二重濾過血漿交換療法は血漿分画分離を室温で行う。
  • 代用血漿の使用量を少なくすることが可能となる。
  • 置換補充液としてアルブミン溶液を用いる。
  • この療法の対象となるのは病因物質が免疫グロブリン以上の分子量と特定できている場合に限る。
 
 

【吸着療法(HA)】

  • 長所と短所 : 血液透析と比較すると、中分子物質や薬物の除去に優れるが、水分の除去または電解質の調整ができない。

 
選択吸着

  • 透析アミロイドーシスに対してβ2-マイクログロブリンを吸着するもの
  • 重症筋無力症、SLEなどの自己免疫疾患に対して関連抗体を吸着するもの
  • 脂質代謝異常で、ある家族性高コレステロール血症に対してLDLを吸着するものなどの標的物質に対する選択的吸着ができる。

 
適応疾患

  • 薬物中毒
  • 肝性昏睡や多臓器不全を伴う急性腎不全など
  • 敗血症
  • 透析アミロイド症

 
方法

  • 患者血液を直接吸着筒に供給するもの
  • 血漿分離器で分離された血漿のみを供給するものがある。
 
吸着器の分類及び適応疾患
灌流方式 吸着剤・リガンド 吸着対象物質 適応疾患
血漿吸着 デキストラン硫酸
(静電結合)
LDL
VLDLコレステロール
家族性高コレステロール血症
巣状糸球体硬化症
閉塞性動脈硬化症
スチレン・ジ・ビニルベンゼン共重合体
(静電結合)
ビリルビン
胆汁酸
術後肝不全
劇症肝炎
石油ピッチ系活性炭 ビリルビン
胆汁酸
昏睡物質
肝性昏睡
トリプトファン 抗アセチルコリンレセプタ抗体
免疫複合体
重症筋無力症
多発性硬化症
ギランバレー症候群
フェニルアラン
(疎水結合)
リウマチ因子
免疫複合体
抗DNA抗体
悪性関節リウマチ
多発性硬化症
ギランバレー症候群
全身性エリトマトーデス
血液吸着 ヘキサデシル基
(疎水結合)
β2ミクログロブリン 透析アミロイド症
石油ピッチ系活性炭 薬物
ビリルビン
胆汁酸
クレアチニン
薬物中毒
肝性昏睡
ポリミキシンB
(イオン結合)
エンドトキシン 敗血症
エンドトキシン血症
酢酸セルロースビーズ 顆粒球 潰瘍性大腸炎
クローン病
ポリエチレンテレフタレート不織布 白血球
リンパ球
潰瘍性大腸炎
関節リウマチ
デキストラン硫酸
(静電結合)
LDL
VLDLコレステロール
家族性高コレステロール血症
 疎水結合
  • 水溶液中では,水との接触面積を少なくするために疎水性の物質が集結してくる、その相互作用を利用し疎水性物質であるアミノ酸(トリプトファン,フェイルアラニン)をリガンドに用いてIgGや免疫複合体などの吸着除去を行う方法である。

 
静電結合

  • 正電荷の帯びた物質をリガンドとすることにより,生体内の負電荷を帯びた病因物質を吸着させ除去する。
 
 

【置換補充液を必要とする血液浄化療法】

  • 各種の血液浄化療法のうちで、体重減少分以外の体液成分を除去した場合に使用される電解質液または、血液製剤を指す。
    • 単純血漿交換療法(FFP;新鮮凍結血漿 2000~4000mL/回使用)
    • 二重濾過血漿交換療法(アルブミン製剤 100~200mL/回使用)
    • 血液濾過
    • 血液透析濾過
    • 無酢酸透析(AFBF;バイオフィルトレーション) : 個人機による無酢酸透析では、炭酸水素ナトリウムを置換補充液として使用する。

 
 
【アフェレーシスの監視装置(監視項目)】

  • 重量バランス計
  • 気泡検知器
  • 漏血検知器
  • 回路内圧計
  • 血漿濾過圧
  • 血漿吸着入口圧
 
 
【血液浄化器種類】
 
フィルタ 孔径 備考
血漿分離膜 100nm 患者血液を血球と血漿に分離する。
血漿成分分画器 数10nm 血漿分離器で血漿と血球を分離した後、血漿内のアルブミンとグロブリン分画に分ける。
血漿吸着器   血漿分離器で血漿と血球を分離した後、血漿内の不要物質を選択的に吸着除去する。
透析膜 数~数10nm  
限外濾過膜 1~2nm  
逆浸透膜 0.5~1.0nm(5~10Å)