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治療の分類(HF、HDF、ECUM)

【治療の分類(HF、HDF、ECUM)】

 <血液濾過法>
  • 血液濾過は限外濾過によって溶質の除去を行い、同量の補充液で置換をする治療法である。
  • 溶質の除去量は限外濾過量に依存する。
  • 血液濾過は血液透析と比べて小分子量物質の除去は劣るが、大分子量物質の除去に優れる。
  • 血液濾過(HF) は限外濾過のみで透析液は流さない。血液濾過の前後に補充液を注入し(前希釈・後希釈)、濾液と補充液のバランスを制御する。
  • 限外濾過率の低い血液浄化器での大量濾過は膜間圧力差が増加する。
    • 膜間圧力差(TMP) は、(中空糸内の平均圧) - (透析液側の平均圧)で表される。
    • 限外濾過率が低い膜で大量濾過を行う場合、高度な陰圧が膜に印加され透析液側の平均圧が低下するため、TMPが上昇する。
    • TMPが高すぎる場合は、溶血や膜破損の原因となる。

 
 血液濾過法の適応

  • 透析アミロイドーシスは、アミロイド蛋白が骨関節に沈着することによって発症しβ2-ミクログロブリンが関与している。
  • β2-ミクログロブリンは分子量が約11800の低分子蛋白に該当し、HDと比較するとHDFでの除去効率が高い。

 
 
<血液透析濾過法>

  • 血液透析鴻過(HDF) では、置換補充液により血液を希釈した分だけ除水による限外濾過圧を高めることができるため、濾過により大分子物質の除去効率に優れる一方、血液透析(HD) では拡散に依存するため、分子量が大きいほどクリアランスが低下する。

 
血液透析濾過器(ヘモダイアフィルタ)

  • 血液透析濾過器(ヘモダイアフィルタ)は、膜素材や浄化器の形状は血液透析器(ダイアライザ)と変わらないが、膜の細孔径が大きいため透水性が高く、大量の濾過を必要とする血液透析濾過に使用する血液浄化器である。
  • ダイアライザに比べ高い透水性、高い限外濾過率を持つ。
    • 透水性が高いため透析液側の陰圧が発生しにくく、同じ量の濾過をダイアライザと行なった場合と比べ、膜間圧力差は上昇しにくい。
  • ヘモダイアフィルタを使用した血液透析濾過では、濾過により高いβ2-ミクログロブリンクリアランスを得られるが、治療法による効果であり浄化器自体に吸着特性はない。
  • 血液透析濾過器はダイアライザと比較して、透水性や大分子物質の除去に優れるが、小分子物質の除去能に差はない。
    • 小分子領域の除去は、拡散に依存するため膜孔径の影響が小さく、ダイアライザと比べたクリアランスの差はほとんどない。
  • ダイアライザもヘモダイアフィルタも、膜細孔よりアルブミンの漏出が生じる。特に濾過を行う血液透析濾過は、血液透析と比較してアルブミン漏出量が多い。
  • アルブミンのふるい係数が大きい。
  • 大分子領域の物質の除去は細孔径に影響されるため、細孔径の大きいヘモダイアフイルタは、ダイアライザと比べクリアランスが高い。
 
オフラインHDF
  • 置換補充液はバッグを使用する。
  • バックを利用するため大量置換には不向き。
  • 後希釈(後置換)で使用する事が多い。
 
 
オンラインHDF
  • on-line HDFは透析液の一部を補充液として直接体内に注入するため、透析液・透析液配管の清浄化が必須である。
  • 前希釈法では血液濃縮の影響を受けないため、50L以上の大量置換が可能である。
  • 補充液には無菌的処理された医薬品ではなく、透析液を用いる。
  • HDFではダイアライザ(HDで使用)ではなく、ヘモダイアフィルタが用いられる。
  • 高透水性膜は膜細孔が大きいためアルブミンのふるい係数が高く、治療によるアルブミンの喪失量が相対的に多くなる。
  • 物質除去は限外濾過と拡散で行う。(物質除去を限外濾過のみで行う治療は血液濾過である)
 
 

透析液の清浄化

  • 透析液の一部を補充液として使用するため、水質基準を満たした(清浄化された)透析液を使用しなければならない。
  • 透析液清浄化を目的にエンドトキシン捕捉フィルタ(ETRF) を使用する。
  • 清浄化された透析液を得るために、透析液供給ラインにエンドトキシン捕捉フィルタを設置する。
  • 補充液として透析液を使用するためには清浄化管理が重要である。
    • 水質確保は月に1回以上のエンドトキシンおよび生菌数測定をし、関連学会から示されている水質基準を満たさなければならない。
  • 透析用監視装置に供給される標準透析液が、装置に設置されたに1本目のETRFを通過することで、超純粋透析液となり、2本目のETRFを通過することで理論上の無菌透析液(オンライオン補充液)となるため、最低2本必要である。

 
 
<希釈法>
ヘモダイアフィルタの前で補充液を使用する前希釈法、後で補充液を使用する後希釈法がある。
 
後希釈法(後置換)

  • 後希釈法では、ヘモダイアフィルタ内での血液が希釈されず、前希釈法と比較して除去対象の溶質濃度は高いままとなる。そのため、濃度差により生じる拡散に依存する小分子領域の除去能は、後希釈法の方が優れる。
  • 先に濾過を行う後希釈法の方が、血液透析濾過器出口部分での血液濃縮が起こりやすい。
  • 後希釈法は無希釈の状態の血液に濾過を行うため、前希釈法と比較して濾過圧が高くなり、アルブミンの漏出が大きくなる。
  • 後希釈法で大量濾過を行う場合、浄化器内での過剰濃縮やアルブミンの過剰漏出が起こるため、血液流量25%程度が濾過の限界である。

 
前希釈(前置換)

  • 前希釈では、動脈側ドリップチャンバで希釈することで血液流量と同量の濾過が可能である。オンラインHDFでは前希釈が主流である。
  • 前希釈法では、ヘモダイアフィルタに流入する前に血液が希釈されるため、細孔の日詰まりが起こりにくく過度な濾過圧が生じにくい。そのため、後希釈法に比べアルブミンの喪失量が低く抑えられる。

 
  
<HF、HDF療法に必要>

  • ヘモフィルタ
  • 専用装置
  • 透析液の清浄化
  • 透析学会基準の水質基準
  • 限外濾過フィルタ設置(望ましい)

 
 
<ECUM>

  • ECUMは補充液を使用しない血液濾過であり、血圧を含め循環動態に及ぼす影響は極めて小さい。
  • 通常は血液透析時間内に除水を終えることが出来なかった際に除水(限外濾過)のみの設定で行う。
  • フィルタはダイアライザを用いる。