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バスキュラーアクセス

【種類】

 

【長期的アクセス】
内シャント

  • Brescia-Cimino法
  • 慢性透析患者のバスキュラーアクセスの第一選択。
  • 可能な限り末梢からの作成が推奨されている。
  • 作成部位は前腕部が第一選択である。
  • 橈骨動脈と橈側皮静脈の吻合が第一選択となる。
  • 透析医学会では、機能的「端側吻合」が推奨されている。
  • AVFへの穿刺は、術後2週間以上経過してからが望ましいとされている。
  • 人工腎臓装置では200mL/min前後の血液を体外循環させる必要がある。現在では、橈骨動脈と橈側皮静脈を皮下で直接吻合して動静脈痩をつくり、それを反復穿刺することにより長期透析が可能となった。これを内シャントという。
  • 自己血管内シャントは開存率が高い。
  • バスキュラーアクセスの中で感染のリスクが低い。
  • 皮下動静脈痩ではソアサム症候群が見られる。

 
人工血管バイパスグラフト

  • 動脈近傍に適当な皮静脈がない場合に人工血管でバイパスをつくるグラフト。
  • 動脈と静脈とをシャントする。
  • 人工血管の材料としてはe-PTFE、ポリウレタンなどが利用されている。
    • ① e-PTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)が人工血管で最も用いられている。
      • 多孔質のe-PTFE製人工血管では血漿漏出によりセローマ(血清腫)を生じる可能性がある。
    • ② ポリウレタンは屈曲しやすいという短所あり
    • ③ ポリウレタン製人工血管では血清腫(セローマ)は生じない。
  • 自己血管内シャントよりも心負荷が大きい。

 
人工血管ジャンピンググラフト、動脈表在化

  • 動脈穿刺を容易にするために、四肢の筋膜下を走っている動脈を皮下に転移させる方法である。
  • ジャンピンググラフトは動脈と動脈をシャントする。
  • 動静脈痩がつくれない患者、シャントによる心臓への負担を避けたい症例や(心疾患を伴った患者)などに適応され、上腕動脈や大腿動脈などが使用される。
  • 動脈表在化は緊急時に避難的に行われる。
  • 動脈表在化の穿刺部位は限られた場所(穿刺範囲が狭い)となる。

 
 
【緊急時(一時的アクセス)】
中心静脈留置カテーテル(Wルーメンカテーテル

  • 2本の通路がある1本のカテーテルを大腿静脈や鎖骨下静脈、内径静脈などへ留置して行う。また動・静脈直接穿刺もおこなわれる。
  • 脱血・送血の2本のルーメンがまとめて1本のカテーテルに備わっているダブルルーメンカテーテルを1本挿入する。
  • 簡便で繰り返し使用が可能だが、感染や血栓形成のリスクがある。
  • 使用後は、カテーテル内にヘパリンを充填する。
  • カテーテル先端の位置確認をするため胸部X線が実施される。
  • カフ付き静脈カテーテルを用いれば感染のリスクを回避できる。 →100%の防止はできない
  • カフ型カテーテルのカフは、トンネル感染の進展を低減する働きがある。ただし、感染を完全に防止することはできない。非カフ型カテーテル留置部位は、右内頚静脈を第一選択とするが、大腿静脈に留置することも可能である。
  • 合併症
    • ①不整脈
    • ②気胸
    • ③縦隔血腫

 
外シャント

  • 開存期間は非常に身近こと、感染症のリスクが大きいことデメリットがある。

 
動脈直接穿刺

  • 太い留置針を用い、上腕動脈や大腿動脈に直接穿刺する方法。

 
単針透析(シングルニードル

  • 1本の穿刺針で透析を行う。血流と同じ方向に穿刺を行い身体に返る血液と身体から引く血液とが混じりにくいようにして行う。

 
 
【内シャントの合併症】

  • 狭窄・閉塞 →合併症で最も多い
  • 感染症
  • スチール症候群
    • 本来、末梢の組織に供給される動脈血がシャントに流入し、末梢循環障害を呈するために引き起こされる病態。
    • 手指の冷感、しびれ、疼痛を呈する。
    • 高度な虚血による潰瘍の形成や壊死を生じる場合はシャント閉鎖が必要である。
    • 末梢組織に供給される動脈血がシャントへ流入し、末梢部の血流量が減少することにより末梢循環障害が生じる。
    • 高度になると、びらんや潰瘍を呈することがある。
    • 高度な虚血により潰療の形成や壊死を生じる場合はシャントを閉鎖するが、症状が軽度の場合には吻合部の外科的パンデイングを行う。
  • Sore thumb症候群
    • 側々吻合による前腕吻合部直後の中枢側に狭窄や閉塞が生じる末梢循環障害
    • シャント血流が末梢側に逆流し手指の痛みや腫脹を生じる。
  • 静脈圧高血圧症
    • シャントより中枢側の狭窄により生じる。
    • シャント-狭窄部間に血液のうっ滞が生じ静脈高血圧となる。
    • シャント吻合部よりも中枢側に狭窄や閉塞がある場合、吻合部から狭窄部の静脈血管内が高圧となり、血管内水分が血管外に漏出し浮腫をきたす。
    • 重度の場合には高度の腫脹や青紫色の変色が見られる。
    • PTAにより解除できない場合は、吻合部を閉鎖する必要もある。
  • 仮性動脈瘤
  • 石灰化
    • 血流が不安定になる。

  
人工血管だけの特徴的な合併症

  • 血清腫(ゼローマ) →ポリテロラフルオロエチレン(e-PTFEのみで起こる)
  • グラフト瘤
  • パンヌス(肥厚)

 
 
【バスキュラーアクセス再循環】
原因

  • 脱血側と返血側の穿刺針の位置が近い
  • 穿刺する血管に狭窄が起きている。
  • シングルニードルによる透析治療を実施した。
  • 側副経路が存在する。
    • 穿刺する針の位置・方向が適切でない。