HOME | New臨床工学技士まとめサイト | 血液浄化療法 | 患者管理

患者管理

【血圧低下】

  • 透析中に血圧低下が頻繁に起こる患者の死亡リスクが高いことが知られており、透析中の車圧低下を予防することは重要である。
  • 血圧が低下すると、そのままショックに陥る患者もいるため早急な対応が必要となる。
  • 血圧低下は、除水により循環血液量が大きく低下してしまった場合に起こる。
  • 透析に伴う血漿浸透圧の低下によるもの
  • 透析施行中の食事の摂取
  • 密閉回路内の液漏れ

 
原因

  • 間質から血管への水の移動(プラズマリフイリング)が除水に比べて遅くなると循環血流量が減少し血圧が低下する。

 
対応

  • 除水速度の調整や透析液温度を下げる。
  • 急激な血圧低下が起こった場合には、補液により循環血流量を増加させる。
  • 頻繁に血圧低下が起こる場合には、ドライウエイトの再調整や昇圧作用のある薬剤の使用を検討する。
  • 透析液温度を下げることにより寒冷刺激で末梢血管を収縮させ、血圧の維持や軽微な昇圧作用を得ることができる。
 

血圧低下を予防あるいは改善するため

  • 体重増加の抑制 : 食事量の制限や、減塩など摂取ナトリウム量を制限し飲水量を抑制する。
  • 血圧低下予防薬の服用
  • 透析液温の低下 : 血液温低下により交感神経を刺激し、末梢血管抵抗を増加し血圧を上昇させる。
  • 下肢挙上 : 下肢血流を上肢に戻しやすくし血圧を維持させる。
  • 血漿浸透圧の上昇 : 塩化ナトリウム液やブドウ糖夜、高浸透圧液などを回路内に投与。
  • 除水速度の低下 : 時間除水量を低下させプラズマリフィリングによる循環血液量の維持を図る。
  • 昇圧剤の投与 : 上記の昇在処置てや効果が得られない場合。
  • 補液 : 上記の昇圧処置て効果が得られない場合。
  • ECUMの追加 : 時間除水量を下げ、透析時間中に除水しきれない量を除水する場合に施行。
  • 高ナトリウム透析 : 透析液ナトリム濃度を高くし、除水による血漿浸透圧の低下を予防する。
 
 

【不均衡症候群】

  • 血液透析で直接溶質を除去する血液(細胞外液)と細胞内液との間で不均衡が生じ、それによって引き起こされる脱力感、頭痛、悪心・嘔吐などの症候群。
  • 透析導入初期に見られる。

 
低効率の透析を行う

  • ダイアライザの膜面積を小さくする
  • 血液流量を落とす
  • 透析液流量を低くする
  • 透析時間を短くする

 
高浸透圧薬を投与することで改善される。

  • マニトール
  • グリセオール
  • 高ナトリウム透析

 

 

【食事療法】

  • タンパク質
    • 透析開始前の尿毒症状態の時は、一般的に厳しいタンパク制限を行う。
    • 透析が始まるとタンパク質摂取量を増加させる。
    • タンパク摂取量は、0.9~1.2g/kg体重/日。
  • エネルギー
    • 透析患者の適正エネルギー量は30~35kcal/kg体重/日。
  • 食塩
    • 約6g/日 未満
  • カリウム
    • CKD5 →カリウムの摂取 ≦ 1500mg/日
    • 透析導入 →カリウムの摂取 ≦ 2000mg/日
    • 原則的には果実、生野菜、豆類、チョコレートなどKを多く含む食品は制限する。
  • 水分
    • 1日量は、(尿量+500)mL~(尿量+1500)mL。
    • ドライウエイトより3~5%以内。
  • リン
    • タンパク質(g)×15mg以下
 
 
【透析患者の血液検査所見】
上がる(上昇) 下がる(低下) 変化なし
リン
カリウム→心電図テント状T波
マグネシウム
尿素窒素(クレアチン、BUN)
カルシウム
重炭酸(HCO3-)
 pH(代謝性アシドーシス)
Ht(腎性貧血)
ヘモグロビン
尿浸透圧(等張尿)
ナトリウム(やや低下)
 
 

【透析効率Kt/v】

  • Kt/vとは、尿素が全身の体液中にほぼ均等に分布しているものした場合の適正血液浄化量の指標である。
  • Kt/v=1とは体液1に対して、1倍の透析量
  • Kt/V=1.2とは体液1に対して1.2倍の透析量
  • Kt/Vのtは透析時間のため、透析時間が長いほど高くなる(透析効率が良くなる
  • K:ダイアライザの尿素クリアランス
  • t:透析時間
  • V:尿素の体内分布容積

 
Kt/vの考え方

  • Kt/v/は透析効率のこと
  • 透析量の指標である。
  • 厳密に言えば、「尿素の除去効率」を示す。
    • 除去効率を上げるためには、血液流量、透析液流量を上げる、膜素材(膜面積、膜厚、膜孔径など)を変更する、透析時間を延長するなどの考慮が必要となる。
    • 患者さんの血中尿素濃度は、「除去効率」には関係ない(血中濃度の影響は受けない)ので注意!
  • Kt/vのvは体液量(すなわち体重に比例する)
  • Kt/vを考える時にタンパク異化率を考慮する。
    • タンパク異化率は透析患者さんの栄養状態に関係する。すなわちタンパク異化率が低い(栄養状態が悪い)原因はもしかしたら、透析効率(Kt/v)が悪い可能性も考えられる。
  • Kt/vはBUN(尿素窒素)を元にして、算出している。そのため“ふるい係数”は関係ない
    • ふるい係数は大分子量物質を対象とした指標
    • ふるい係数の最大は1。よってアルブミンなどは0.1前後であるが、小分子量であるBUNのふるい係数は1となる。
  • 1-コンパートメントモデルを用いて導出される。
  • Kt/vが大きい方が生命予後は良好である。
  • 臨床ではKt/v > 1.2が目標とされている。
  • Kt/vは治療前の血液濃度に対する治療後の血液中濃度の自然対数の比で表される。

 
透析効率(Kt/v)に関連する項目

  • ダイアライザの性能
  • 膜面積
  • 膜素材(材質、膜孔経など)
  • 透析時間
  • 血液流量
  • 透析液流量
  • 体重