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透析液、補充液、置換液

【透析液の組成】

血液透析
Na K Ca Mg Cl 酢酸 重炭酸 ブドウ糖 浸透圧
mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mg/dL mOsm/L
140  2.0 3.0 1.0 110 8.0 30 100 280
 
腹膜透析
Na K Ca Mg Cl 酢酸 乳酸 ブドウ糖 浸透圧
mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mg/dL mOsm/L
 132 ×  3.5~4.5 35 96  ×  40 1500~4500 350~500 
 
 【血液透析液の特徴】
  • 重炭酸が含まれている
  • A剤、B剤と2剤化されている。
  • 浸透圧は等張に近い組成である。
    • 浸透圧は血清浸透圧に等しい。
  • エンドトキシン活性値は透析液水質管理に用いられる。
  • 透析時低血圧が起こりやすい患者に対し透析液ナトリウム濃度を上げることがある。
  • 腹膜透析液ではブドウ糖が浸透圧に最も寄与する。
  • 透析液に用いる原水は水道法による水質基準を満たす必要がある。
  • ジギタリス服用患者ではカリウム濃度調整が必要である。
 
 
【アルカリ化剤(緩衝材)】
  • アルカリ化剤は血液側に補給される。
  • アルカリ化剤としては、酢酸塩が広く使用されていたが、透析患者の20~30%に酢酸不耐症の合併がみられ、問題視されるようになった。酢酸塩に代わって重曹(HCO3-)が使用される。
  • 酢酸について
    • 体内でのエネルギー生成に関与する。 →酢酸はアセチルCoAへと変換され、TCAサイクル回路に入りエネルギー生成へと向かう。
    • 血管拡張作用がある。
  • 生体では酢酸イオンは等モルの重炭酸イオンとなる。
  • 生体では重炭酸イオンはpH値を上昇させる。
  • 生体では乳酸イオンはpH値を上昇させる。
 
 

【無酢酸透析(バイオフィルトレーション)】

  • 酢酸不耐症患者には無酢酸透析液がある。
  • 酢酸は末梢血管拡張作用があり、低血圧を招く
  • 無酢酸透析液は従来の重曹透析液から酢酸を完全に除去した透析液である。
  • ただし、アルカリ化剤である炭酸水素ナトリウムを混合するとpHが高くなり、アルカリ状態下では重炭酸イオンとマグネシウム・カルシウムイオンの結合により炭酸塩が生じ遊離イオンが減少するため、透析液のpHの調整のためにクエン酸を添加している。
  • また、重曹透析液と同じく使用直前にA剤とB剤を混合する二剤混合方式がとられている
 
 
【濃度計算】
基本公式
 

例題)
溶液1L中にブドウ糖(C6H12O6、分子量180)が50g溶けているとする。この溶液のモル濃度mmoL/Lはいくつか?
 
ブドウ糖の分子量=180gが1モルだから、
ブドウ糖50gのモル数=50/180 =0.28モルで、溶液1Lに含まれている。
モル濃度=0.28モル/L = 280mmoL/Lとなる。

 
 

例題)
濃度が1170[mg/dL]のNaCL(分子量58.5)水溶液の当量濃度はいくつか?