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心拍出量計

【フィック法】 

  • 精度や再現性に優れているので他の測定法に対する構成法にも使用される。
  • 酸素含有用を求めるためには動脈と静脈でそれぞれ採血する必要がある。
  • 採血やオキシメトリ法により動・静脈の酸素含有量を測定し、動静脈酸素較差を求める。
  • 吸気・呼気の酸素量の差から酸素摂取量を求め、心拍出量を算出している。
  • 動脈酸素含量は動脈から採血、静脈酸素含量は肺動脈から採血することにより再循環による誤差はなく正確な測定が可能となる。
  • フィック法による心拍出量測定で必要はパラメータは、酸素摂取量、動脈血酸素含量、混合静脈血酸素含量である。

 
 
【熱希釈法】 

  • 通常0℃の5%ブドウ糖、生理食塩水など5mLまたは10mLを右心房部位で素早く注入し、肺動脈部位に留置したサーミスタで肺動脈血の温度降下を記録して測定する。
  • 熱希釈法は、色素希釈法のように再循環成分の希釈曲線による誤差がない。
  • 血液温度の変化を積分して熱希釈曲線の面積を出し、ブドウ糖液の注入量などから計算を行う。また低心拍出量ほど冷水の影響は大きく、温度変化は大きい。
  • カテーテルは内頚静脈、鎖骨下静脈、大腿静脈など静脈系より挿入する。0℃に冷やした5%ブドウ糖液をゆっくり注入した際には、肺動脈の血液温度の変化が少なくなり、結果的に心拍出量に誤差が生じる。
  • 熱希釈法は熱希釈曲線の時間積分値から心拍出量を算出する。

 
誤差要因

  • 人工呼吸器によるPEEPなどによる胸腔内圧の上昇 : 上大静脈の灌流血液量を下げることから心拍出量に影響する。
  • サーミスタが血管壁に接触 : 血液温が正確に測定できず、温度が実際よりも高く測定されることから心拍出量に誤差が生じる。
  • 指示薬の注入速度が遅い : 熱希釈曲線が変化するため正確な心拍出量が測定できない。指示薬は大人で5mL (または10mL)、小児では3mL が用いられる。2~4sec/10mLのスピードが望ましい。
  • 5秒間隔での再測定 : 30~60 秒の測定間隔が必要である

 

スワンガンツカテーテル

  • 熱希釈法には、サーモダイリューションカテーテル(スワンガンツカテーテル、肺動脈カテーテル)が用いられる。
  • 先端から約30cmの位置にある熱媒体の注入口および先端から約4cmの位置にあるサーミス夕、先端のバルーンが重要な役割を果たす。
  • 熱媒体により冷却された局所的な血液温度の変化をサ}ミスタにより計測し、熱希釈曲線を得てStewart-Hamiltonの式から心拍出量を求める。

 
 
【色素希釈法】 

  • 色素は毒素がなく、化学的、光学的変化を受けにくいインドシアニングリーン(ICG)が用いられる。
  • 指示薬希釈法は再循環による色素濃度上昇があり、繰り返し測定が困難であるため連続測定ができない。
  • 短時間での繰り返し測定が困難である。指示薬希釈法では熱希釈法、超音波断層法が繰り返し測定に適している。
  • 色素希釈法では中心静脈や末梢静脈からインドシアニングリーンなどの色素を注入して、動脈側で色素による濃度変化を検出して心拍出量を求める。
  • 色素希釈法では検出側で再循環による色素濃度上昇があるため、連続測定は困難になる。
  • 色素希釈法は、色素薬を中心静脈あるいは太い静脈から急速注入し、耳朶の動脈に色素が流れたことを検出し心拍出量を測定している。
  • 一部の色素薬は再循環され計測精度に影響を受ける。
  • ICGは光によって分解される性質をもっており、採血した後の検体を明るい部屋に放置しておくと、分解されて時間の経過とともにICG濃度が低くなってしまうため、遮光が必要である。

 
 
【血圧波形解析(pulse contour)】 

  • 上腕動脈または大腿動脈の一心拍ごとの観血的血圧波形から一回心拍出量を測定する圧波形分析式心拍出量測定 (PCCO法)は、これまでの熱希釈法などと比較して低侵襲な心拍出量の連続測定法として臨床応用されている。
  •  PCCO法では、観血的血圧波形の収縮期における面積が、左心室から送り出される血液量(一回拍出量)と比例関係にあることを利用している。
  • 測定に際して熱希釈法により心拍出量を求め、この数値から補正係数を得なければならない。
  • PCCO法では定期的な熱希釈法による校正(キャリブレーション)が必要となる。
  • 動脈圧波形の解析から心拍出量を測定する。1回拍出量と脈圧が比例することに着目した測定法である。
  • 動脈圧波形心拍出量(APCO) は、観血的動脈圧波形を定められたアルゴリズムで解析することによって心拍出量を求める測定法である。観血式血圧測定と同時に計測でき、連続的に心拍出量をモニタできる利点がある。

 
 
【超音波断層法】 

  • 経食道心エコー(TEE) による心拍出量測定はパルスドプラ法により左室流出路、大動脈弁、肺動脈弁などを通過する血流量を求め、さらに断層エコー法によりその流路の断面積から算出する。
  • 超音波診断装置を用いた心拍出量測定は、パルスドプラ法により流出路平均血流速度を、断層エコー法(Mモード)により流路直径を求め計算により算出する。

 
 
【インピーダンスカルジオグラフィ法】

  • インピーダンスカルジオグラフィ法は、頭部と胸部に装着した電極間の電気的インピーダンスが血液の駆出に伴って変化することを利用して、間接的に心拍出量を測定する方法である。
  • インピーダンスカルジオグラフィは、頚部と胸部にテープ電極を巻き、2電極間の電位差から心拍出量を求める方法で非侵襲的である。