【概要】
- 周波数帯域 : 0.05Hz~100Hz
- 同相除去比(CMRR) : 60dB以上
- 入力インピーダンス : 2.5MΩ以上
- 標準感度 : 10mm/mV (1mV[p-p]の入力に対して、記録計の振れは10mm)
- 時定数 : 3.2 s以上
- 標準紙送り速度 : 25mm/s (1mmは0.04秒)
- 入力換算雑音 : 30μVpp以下
- インストスイッチは通常開放(off)されており、除細動器などの大電流が流れた時に一時的に投入(on) される。
- プリアンプは通常計装アンプが用いられる。
- ハムフィルタはハム雑音を除去するが50/60Hzの成分を損なうのでon/offスイッチがある。
- ハムフィルタを使用するとQRS波形がひずむ。
- 心電計の体表電位は振幅が1mV程度以下、周波数成分は直流~150Hz程度を増幅する。
- 増幅回路のグラウンドに用いる電位(VG)は通常右足に取り付ける。
- 心電計の検知できる最小入力は20μV以下である。
【電極】
- 心電図の標準12誘導とは四肢に4個、胸部に6個の電極を装着。
- 電極電位・分極電圧の発生を小さく抑えた不分極性電極である銀・塩化銀電極を使用する。
【四肢電極の装着部位】
- 赤色・・・右手(RA)
- 黄色・・・左手(LA)
- 緑色・・・左足(LF)
- 黒色・・・右足(RF)
- 装着部位は通常、手首・足首に装着するが、外傷のある場合や切断肢の患者には四肢の付け根でも良い(波形に大きな変化はない)。
胸部電極の装着部位
- V1・・・第4肋間胸骨右縁
- V 2・・・第4 肋間胸骨左縁
- V3・・・V2とV4を結んだ線の中点
- V4・・・第5肋間と鎖骨中央線との交点
- V5・・・左前腋窩線上でV4の高さ
- V6は左中腋窩線上でV4の高さ
【誘導法】
標準12誘導の誘導部位と電極の極性
- 誘導法には、双極肢誘導(Ⅰ、Ⅱ、 Ⅲ)、単極肢誘導(aVR、aVL、aVF)、単極胸部誘導(V1~V6) の12種類ある。
- 双極誘導は装着した電極二点間の電位差を導出し、単極誘導は不関電極(基準電位)と装着した電極との電位差を導出する。
- 標準12誘導心電図の使用電極は、四肢電極4個と胸部電極6個の合計10個である。
- aVR誘導はVR誘導の1.5倍の電位となる。
- 単極胸部誘導では右手、左手、左足に抵抗をいれて結合させた、ウィルソンの結合電極である。
- 単極胸部誘導では四肢の電極装着は必要である。
- 心臓の起電力を水平方向から記録する単極胸部誘導では、V1誘導の電極を第4肋間胸骨右縁に装着する。
- 単極肢誘導はゴールドバーガーの結合電極を利用する。
- 単極肢誘導では、心臓の起電力を水平方面に展開していると考える。
- QRS平均電気軸の計算には四肢誘導(6つの誘導)から任意の2つの誘導を用いる。
- QRS平均電気軸は双極肢誘導のR波とS波から求めることができ、I誘導のR波とS波の代数和とⅢ誘導のR波とS波の代数和を求め前額面上の電気軸として計測する。正常軸は0~90°である。
- Ⅱ誘導は右手と左手の電位差を指す.
- Ⅱ誘導はⅠ誘導とⅢ誘導の和である。
- Ⅲ誘導は左手と左足の電極の間の電位差を表す双極誘導である。
- Ⅰ誘導とaVLは左心室側壁の情報を、Ⅱ誘導とⅢ誘導とaVFは下壁の情報を反映している。
- 左手と右足の電極を入れ替えても極性は変わらない。
- 左手と左足の電極が入れ替わると正常に取り付けた場合、Ⅰ誘導の位置にⅡ誘導、Ⅱ誘導の位置にⅠ誘導が表示される。
- 左足に振戦がみられると第Ⅱ誘導と第Ⅲ誘導に筋電図が混入する。
- 右手と左手の電極を入れ替えると第Ⅰ誘導の極性が反転する。
心電図誘導電極の右手と左手を逆に装着
- aVRとaVLの波形が入れ替わる
- 第Ⅱ誘導と第Ⅲ誘導の波形が入れ替わる
- 第Ⅰ誘導の波形が反転する
- aVFの波形は正常
- 負電極(-)である右手と左手の中間端子(不関電極)の電位は変わらない
- 胸部誘導(V1~V6)は正常
- 負電極(-)であるWilsonの結合端子(不関電極)の電位は変わらない