HOME | New臨床工学技士まとめサイト | 生体計測装置学 | 脳波計

脳波計

【概要】 

  • 標準感度 : 50μV/5mm (10μV/mm)
  • 時定数 : 0.3秒
  • 周波数帯域 : 0.5~60Hz(もしくは、0.5~100Hz)
  • 低域遮断周波数 : 0.5Hz
  • 入力インピーダンス : 5MΩ以上
  • 同相除去比(CMRR) : 60dB以上
  • JISでは、差動増幅器の2つの入力端からみた入力インピーダンスは10MΩ以上としている。
  • ニュートラル電極とは差動増幅器の基準点とする電極であり、不関電極ではない。
  • 前額の下部にニュートラル電極(中性点電極)を装着し、これを差動増幅器の基準点としている。
  • ディジタル脳波計では信号の増幅、AD変換は電極接続箱の中ですべて行われ、脳波計本体へと伝送される。
  • ディジタル脳波計の場合、各電極で測定したデータを一旦記憶装置に保存されるため、測定後にそのデータを組合せて単極導出から双極導出に変更することなどが可能である。
  • システムレファレンス電極は頭皮上で、雑音混入の少ない部位に装着する。
  • 単極導出の場合、不関電極である両耳朶と任意の電極間の電位差を測定したものである。
  • 単極導出は通常、脳波電位の影響が少ない耳朶に付けた電極を基準電極として、電位活性のある頭皮上の電極との電位差を導出する。
  • ディジタル脳波計は、システムレファレンス電極を用いて各電極の単極誘導を記録するため、測定後に電極信号を組合せてモンタージュを再現することができる(リモンタージュ)。

 


【電極(皿・針・表面電極)】
 

  • 皿電極 : 電極インピーダンスは大きいが、低侵襲のため通常用いられる。
  • 針電極 : 低インピーダンスだが感染などに注意が必要。
  • 表面電極 : シート状の電極。基本的には皿電極と同様。
  • 導出電極は円板状皿電極が用いられる。


 
 
【脳波】

  • δ波(0.5Hz 以上~4Hz 未満)  : 深睡眠で出現し、振幅が大きい(高振幅δ波)。
  • θ波 (4Hz 以上~8Hz 未満)  : 傾眠、まどろみで出現する。
  • α波(8Hz 以上~14Hz未満) : 覚醒状態、安静・閉眼時に出現する。
  • β波(14Hz 以上~30 Hz未満) : 精神状態が緊張している時に出現する。
  • γ波(30Hz以上) : 高次機能に関連して出現するとされている。

 

  • REM (レム)睡眠時にはθ波がみられる。また、急速眼球運動(REM)がみられることも特徴的である。

 
 
【大脳誘発脳波計測】

  • 大脳誘発電位は0.1~10μV 程度の微小な電位変動であり、数10μV ある通常の自然脳波の中に埋もれてしまう、そのため、誘発電位の検出には加算平均装置を用いてSN比を改善させる必要である。
  • 大脳誘発電位には、聴性誘発反応電位、体性感覚誘発電位、視覚誘発電位の3つがある。
  • 聴覚誘発反応電位(AEP)
    • 周波数帯 : 2Hz~3kHz
    • 加算平均処理500~2000回
    • クリック音で誘発する。
    • 聴覚障害検査、脳幹障害検査、脳死判定の補助診断、耳鼻科、神経科、小児科領域に使用する。
  • 体性感覚誘発反応電位
    • 周波数帯域1Hz~3kHz
    • 加算平均処理500~1000回
    • 皮膚表面の電気刺激で誘発する。
    • 末梢神経障害検査、脊髄障害検査、手術中の神経機能モニタに使用する。
  • 視覚誘発反応電位
    • 周波数帯域0.5Hz~300Hz
    • 加算平均処理100~200回
    • フラッシュ光刺激あるいは映像刺激により誘発する。
    • 視覚障害検査、半盲検査の補助診断に利用する。
  • 特に潜時の短い聴性脳幹反応 (ABR) は脳幹部での病変の診断に有用であり、脳死判定のための補助手段としても利用されている。
  • 一般的に分極電圧の小さい銀-塩化銀(Ag-AgCl ) の皿電極が用いられる。
  • 刺激を加えてから反応が起こるを潜時という。
  • 聴性脳幹反応は脳幹部の診断に有用である。
  • 大脳に直接刺激を与えることはなく、生体末梢の感覚受容器に音や光、電気刺激を与える。