NIPPVの換気モード
換気モード | 動作 |
Sモード Spontaneous |
患者の自発呼吸を感知して、それに同調してIPAPとEPAP圧を供給する 自発呼吸のある患者に使用する |
Tモード Timed |
呼吸回数と吸気時間を設定し、それに応じたIPAPとEPAP圧を繰り返す 無呼吸、呼吸停止、トリガーされない吸気の弱い患者に使用する |
S/Tモード | 患者の自発呼吸を認識した場合はSモード、患者が無呼吸や呼吸停止となった場合はTモードとして動作する |
対象疾患
- 高二酸化炭素血症を伴う呼吸不全(II型呼吸不全)の患者さんが対象になる。一般に、換気が少なくなると二酸化炭素が蓄積するが、このような方に換気を補助することで二酸化炭素を下げることが可能になる。
- 神経筋疾患ではPaCO2が、50~60mmHgで、結核後遺症などではPaCO2が60~70mmHg位を目安に導入する。
- 中枢神経 : 原発性肺胞低換気
- 呼吸器疾患 : 免疫不全に伴う呼吸不全、肺結核後遺症、COPD、急性心原性肺水腫など
- 循環器疾患:うっ血性心不全
- 胸郭変形性拘束性障害 : 脊椎側彎症、胸郭形成術など
- ※また、この人工呼吸器を使い始めるタイミングとして、慢性の経過の中でII型呼吸不全が進行した場合に導入する場合と、慢性呼吸不全の急性増悪時に導入する場合があるが、後者は病状が改善すれば呼吸器から離脱することが可能である。
禁忌症例
- 心停止、呼吸停止
- 消化管出血、消化管穿孔
- 上気道閉塞 →痰による閉塞
- 気胸
- 気道内分泌物が排出困難
- ショック
- ALS(筋萎縮性側索硬化症)
NIPPVの導入条件
- 自発呼吸がある。
- 気道確保の必要なし。
- 咳嗽力があり、排痰できる。
- 循環不全がない。
- 多臓器不全がない。
- マスクの装着が可能
- 患者が協力的である。
NIPPVの優れた点
- 気管内挿管が不用である。
- 非侵襲的である。
- 意識レベルを下げなくとも使用可能 →鎮静は必要ない。
- 会話が可能。
- 安価で簡便
- 自分でマスクの着脱が可能
- 長期在宅人工呼吸器療法が可能
NIPPVの問題点
- 気管内挿管による侵襲的陽圧換気法に比し効果が不確実
- 誤嚥をする可能性が高い。
- 気道分泌が多い人には向かない →喀痰の多い症例には禁忌
- 肺の伸びの悪い人(たとえば間質性肺炎など)には向かない
- マスクの装着感をいやがる人がいる
- マスクによる圧迫で皮膚に傷をつくることがある
- 目が乾燥する
- 患者さんの協力が必要
- 消化管穿孔を認める症例には禁忌である。
- 気道と気管が分離されていないため、気道内圧が高くなった場合、消化管への送気の原因となる。よって、消化管穿孔があった場合には腹腔内に消化管の内容物リークを助長することとなる。